【2021年版】動画配信サービスやスポーツ配信で見られる8つのトレンドとは?

MPP Global Posted by MPP Global on Wednesday, 03 February 2021

この記事のポイント

  • 動画配信サービスは、2021年も有料放送サービスを上回る勢いで成長を続ける。
  • 三大動画配信サービスNetflix、Amazonプライム・ビデオ、Huluは会員減に悩む一方で、Disney+をはじめとする新規参入サービスが急成長を見せる。 
  • ニッチ分野を専門とする小規模の動画配信サービスは、他サービスと協働して幅広いコンテンツを提供することが重要。
  • プレミアム・ビデオ・オンデマンドは、2020年から2021年前半にかけて需要が伸びる予想。一方で、映画館の上映が通常に戻ると需要の低下は避けられない。
  • スポーツ中継の配信サービスは、VRやARを使ったライブストリーミング配信を積極的に導入している。
  • 動画配信サービスへの需要が伸び続けることで、2021年は広告出資も回復を見せる。
  • 避けられない解約率の増加。それに向けた事前対策が必要。

 

1. 今後も伸び続ける動画配信サービス需要

2020年は、緊急事態宣言やロックダウンによる外出自粛が世界的に行われたことにより、おうち時間を充実させる「動画配信サービス」がこれまで以上に注目を浴びた年でした。 ニューノーマルと呼ばれる新たな時代に突入した今もなお、動画配信サービスへの関心と需要は高いままです。実際に、動画配信サービスの会員者数は、ケーブルテレビなどの有料放送サービスの会員者数を超えており、2021年にはさらに7.71%の成長率を見せることが予想されています。ディズニー作品が見放題できることで知られるDisney+ (ディズニープラス) は、2024年までに9,000万人の会員者数の獲得を目標として掲げていましたが、サービス開始からたったの8ヶ月でその目標を達成してしまうほどの人気を見せました。Disney+だけでなく、CBS All Access(Paramount+)、Discovery+Peacock(NBCユニバーサル)など、新規サービスが次々登場し、市場競争はますます激しさを増しています。

OTT example image 1

参考:OMDIA

 

2. サブスクリプションサービスは飽和状態に達しているのか?

動画配信サービスを筆頭に、幅広いジャンルでサブスクリプション(月額制)サービスが提供されるようになりました。しかし、毎月の支出を抑えるためには、登録するサブスクリプションの取捨選択も必要です。2020年には「サブスクは何個を超えると契約しすぎになるか」というトピックが話題になったほど、このトピックは多くの人の関心を呼んでいます。これまで多くのコンテンツが三大動画配信サービスNetflix、Amazonプライム・ビデオ、Huluに集中していましたが、ディズニーなどの大手企業がコンテンツの配信権を取り戻したことにより、複数のプラットフォームに人気コンテンツが分散するようになりました。Disney+のように、大手企業が動画配信サービスを展開するケースが増え、今まで以上にサブスクリプションの取捨選択が困難になっています。

競争が激化する一方で、動画配信サービス市場は2025年まで伸び続けることが予想されています。Apple TVやDisney+の登場により、上位三大動画配信サービスの顔ぶれが変わる日も近いかもしれません。

参考:Statistica

 

3. 一括でアクセスできる「アグリゲーター」への需要

サブスクリプションの選択肢が多いことによる「サブスク疲れ」が消費者の間で広まっている今、サービス提供側の “協働” が注目されています。例えば英国では、BBCとITVが合同で「Britbox」と呼ばれる動画配信サービスを提供しています。ドイツの大手テレビ局プロジーベンザット1では、独自の配信サービスに限界を感じ、ディスカバリー(Discovery)と提携して「ジョイン(Joyn)」と呼ばれる動画配信サービスの提供を開始しました。AmazonやDisney+などの大手サービスに対抗するため、この「協働」アプローチで事業に力を入れる小規模のメディアや放送局が増えています。

 

さらに最近見られる動向に、動画配信サービスと関連サービスのセットプラン販売があります。例えば、英最大手携帯会社O2では、6ヶ月無料でDisney+とApple TV+が楽しめる料金プランを提供しています。

数年前にグーグルが提供を始めたChrome機能「Kaleidoscope」では、NetflixやAmazonプライム・ビデオ、Disney+などのサービスを単独ではなく、一括で契約できることで話題になりましたが、本格的なサービス提供の目処はまだ立っていません。

 

動画配信サービスの多様化とコンテンツの分散化が進む中、消費者にとって「アグリゲーター」(コンテンツを収集・整理してくれるサービス)の存在は今後欠かせなくなります。オンラインニュースをまとめて読めるニュース・アグリゲーターサイトが人気であるように、消費者が好きなコンテンツを選んでまとめて視聴できることが動画配信サービスでも求められています。

 

残念ながら、このようなアグリゲーターが今登場しても、すぐに大手サービスが提携するとは考えられません。しかし、コンテンツ配信権やユーザーの取り合いが続く現状を考えると、何かしらの変化が必要なのかもしれません。

 

4. 2021年はプレミアム・ビデオ・オンデマンドの年?

プレミアム料金を支払って視聴する、プレミアム・ビデオ・オンデマンド(PVOD)の需要が、2020年にかけて伸びています。世界中で映画館上映が困難になったことを受けて、最新映画コンテンツをPVOD形式でオンライン配信する例が増えています。実際に、米国の動画配信サービス会員の22%が、プレミアム料金を支払ってプレミアムコンテンツを視聴しています。

 

米ユニバーサル・ピクチャーズが2020年9月に、最新ディズニー映画「ムーラン」をPVOD形式でオンライン配信を行ったのも、まだ記憶に新しいという方も多いのではないでしょうか?一方で、ミレニアル世代やZ世代を対象にした調査では、6割以上の人が今後6ヶ月以内に映画館での映画視聴を好むと回答しています。今後、PVODが映画館を取って代わるほど人気になることは考えにくいものの、エンターテイメントの選択肢として広がることが予想されます。

5. スポーツ中継コンテンツへの需要が高まる

スポーツ試合は再開されたものの、観客が会場に戻れない日々が続いています。無観客試合の継続が強いられている中、スポーツクラブの間で、コンテンツ配信を工夫してファンたちと繋がろうとする動きが見られています。

 

実際に、ライブ中継動画コンテンツはこれまで以上に需要が伸びており、20201年も引き続きライブ中継でのスポーツ観戦が主流になると考えられます。コンテンツも試合だけでなく、選手インタビュー、選手控室やベンチ内などこれまで映してこなかった場所のコンテンツ、観客席で観戦していることを体験できるシミュレーションコンテンツなども積極的に配信されるようになりました。

 

また、スポーツ専用の動画配信サービスも多様化しています。視聴したいチームやクラブ、放送局などを選んで、それぞれの独自のサービスに登録するファンが増えています。

 

動画配信サービスを活用しているのはスポーツ業界だけではありません。音楽イベントを主催する企業も、このニューノーマル時代を生き抜くため、動画配信を使った音楽体験を提供しています。スポーツコンテンツの配信で知られる「LiveNow」では、音楽やエンターテイメントコンテンツも取り扱っており、音楽ライブやコンサートをオンライン上で配信しています。LiveNowで配信されたデュア・リパのコンサートは、視聴者数が500万人を超え、音楽ストリーミング史上最大規模となりました。また、アルゼンチン発の動画配信サービス「Teatrix」でも、同様な成功例が見られています。2021年も引き続き、音楽ライブイベントはオンライン上で開催されることが予定されており、スポーツ試合のVRライブストリーミング配信もすでに提供され始めています。ライブ配信の技術を活用することで、パンデミックを超えた今後の新しいライブ体験が広がることが期待されます。

参考:LiveNow

動画配信サービスの広告収益も今後伸びを見せることが予想されています。動画配信サービスやビデオオンデマンドサービスだけでなく、スポーツやゲームのライブ配信といったコンテンツも収益化の対象になっています。

 

6. 4Kテレビの普及ー止まらぬ有料放送サービスの解約率

日本では4Kテレビへの移行が積極的には見られていないものの、海外では2020年までに使用中のテレビの21%が4K対応に変わると予想されています。一方でスマートフォンやタブレットの4K対応はそこまで進んでおらず、全体の0.01%に止まる予想です。

 

モバイル端末では今後も通常の解像度が標準のままですが、テレビは4Kがフルハイビジョン(HD)に取って代わり始めています。最近では、テレビでネット動画を視聴することが増えていることもあり、動画配信サービスにとってこの新しい変化はさらなるビジネスチャンスに繋がります。

 

一方で、有料放送サービスは年々需要が減っており、2020年は過去最低を記録しました。eMarketerの調査では、2024年までに米国世帯の3分の1以上が有料放送サービスを解約すると予想しており、その数は4,660万人にのぼります。有料放送サービスは前年比で7.5%の落ち込みが見られています。動画配信サービスが4Kに迅速に対応できれば、今後主流のエンターテイメントになる可能性が高まります。

デバイス別登録率と視聴端末の変化(参考:financesonline.com)

 

7. 動画配信サービスへの広告投資が増える

2021年もマーケターがオンライン広告に力を入れる中、特に注目されているのが動画配信サービスの広告です。2020年にはオンライン広告への出資が6.9%の減少を見せましたが、2021年には回復し、20%の増加を見せることが予想されています。これは、前述した通り、有料放送サービスから動画配信サービスにユーザーが流れている動向を考慮しての予想です。

 

有料放送サービスを解約し、動画配信コンテンツやプレミアムコンテンツなど、好きなコンテンツだけを集めて視聴することが当たり前になりつつあります。動画配信サービスでは、ユーザーのデモグラフィック属性が把握しやすいこともあり、広告のターゲット精度が高くなるメリットがあります。動画配信サービスの提供側は、広告主が求めるターゲット層がどれくらい存在するかをアピールすることで、広告収入を伸ばすことができます。

 

8. 選択肢が増えることによる解約率の増加

パークスアソシエイツの調査によると、2020年の第一四半期には、動画配信サービスの解約率が前年と比較して35%から41%へと上昇したことが明らかになりました。解約率の増加には様々な要因が考えられますが、コンテンツの分散化、配信権の移動、オリジナルコンテンツ、細かなスポーツの放映権決めなどが、直接的または間接的にユーザーの解約の引き金になっている可能性があります。

 

解約をしたあとでも、ユーザーが再登録をして戻ってくることはありますが、ユーザーに長期間継続してサービスを利用してもらうことは大手サービスの課題です。ニッチなコンテンツを扱うサービスであれば、ユーザーの継続率も高まることがあります。しかし、もっと魅力的で需要の高いサービスが新しく登場したときにでも、ユーザーの解約を防げるような強い関係づくりを築いておくことが必要です。

 

まとめ

2021年もパンデミックの終息は難しく、2020年と同じような消費行動が続くと予想されます。ニューノーマル時代を生き抜くため、これまでに新しい変化に適応してきた動画配信サービスは、今後も変化に対応しながら成長を続けることでしょう。

 

そんな中で一番の課題となるのは解約率です。新しいサービスの登場により、ユーザーは観たいコンテンツを求めて、1つのサービスから次のサービスへの乗り換えが以前よりも激しくなっています。

 

ユーザーの解約を防ぐためには、ユーザーの行動分析を通して、一人ひとりにあったコンテンツをカスタマイズして提供することが今後欠かせません。

 

スポーツやライブイベント業界にとって、デジタル化へのシフトは容易ではありませんでしたが、パンデミックを超えた今後の新しいライブ体験を実現するきっかけになったことは間違いありません。動画配信サービスが、今後も先頭に立って、イノベーションを続けていくことを期待したいと思います。

 

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